Midnight dessert and tobacco
真夜中のデザートとタバコ
夏が終わり、朝晩の空気がひんやりしてくると、毎年グルマン系の香りが恋しくなる。ひんやりと乾燥した空気に包まれて香る甘い香りは、寒さで縮こまった体にひとときの安息を与えてくれる。冬のある日、Jovoyで「やっぱり冬だからグルマン系の香りが欲しくて」と言ったら「これ、すごく良いのよ」と出してきてくれたのがフランスのフレグランスハウス Fragrance Du BoisのMinuit et Demiだった。
Fragrance Du Boisは、サステナブルを強く意識したブランドだ。彼らはアジアに私有農園を持ち、50mlと100mlのボトルが売れるたびに、農園に2本の木を植えるのだという。また、彼らはウードの保護活動にも積極的だ。ウードは野生の木のごく少量(7%以下)しか存在せず、とても貴重な香料なため、2004年からワシントン条約で保護されているのだという。そのため、Fragrance Du Boisのフレグランスに使用されるウードは、自社農園で育てられた木から採取されたピュアな原料を使用している。
Minuit et Demiは、ドバイをベースに活躍するフレグランス系インフルエンサーのDemi Rawlingとコラボレーションした香りで、一言で表すとスパイシーなキャラメルバニラ。スプレーした瞬間に、カルダモンとシナモンが効いたキャラメルの香りが広がる。甘さの中にシャープでスッキリとしたグリーンと、ほのかにマスキュリンなウッディノートの香りが漂い、バニラやキャラメル特有のもったりとした重さ(わたしはそれも好きだけれど)を感じさせない。
この時点で似ていると感じるのは、Penhaligon’sのChanging Constanceだ。共通の香りが複数入っているので当然といえば当然なのだが、第一印象はとても似ている。ただ、肌に落ち着く香りが異なる。これは肌との相性もあると思うので一概には言えないが、Changing Constanceはわたしの肌の上ではノートにはないフローラル感が出てくる。昔ながらのおしろいを思わせる、パウダリーなフローラルがバニラと並んで香り続ける。それに対して、Minuit et Demiは全体的に香りがキリッと強く、最後までスパイシーさが残り、キャラメルとバニラの奥にほのかに苦いコーヒーが香る。個人的には、夜のしんとした空気感に合う気がしていて、夕食後に映画でも観ながらリラックスしているときに付けたい香り。Changing Constanceのざっくりした香りは好きだけれどもう少し辛口な甘さの方が好み、という人におすすめだ。
100ml £250