JUSBOX Visionary Eye

Sexy middle-age man in silk pyjamas
シルクのパジャマに身を包んだマチュアな男性

スプレーした瞬間、脳裏に浮かんだのはくすんだブルーのシルクのパジャマに身を包んだマチュアな男性だった。俳優で言えばコリン・ファース。オジサン臭いという意味ではない。むしろ、一般的な「オジサン」はこんな香りは付けない。これは、特別なジェントルマンの香りがするのだ。

Visionary EyeはDominique Ropionによる、2022年に発売された新しい香りだ。ベルガモットやタイムのフレッシュなトップノートは、すぐにパウダリーなアイリスやムスクに飲み込まれる。ラベンダーがマスキュリンな印象を与え、バニラとシナモンがあたたかみを助長する。香りとしての印象は、やわらかく、あたたかく、まろやか。おしろいを思わせるパウダリーノートが効いている。ベルガモットやラベンダーがメンズフレグランスっぽさを感じさせるのかもしれないが、アイリスやムスクのセンシュアルさはフェミニンな印象を与える。だからこそ、マスキュリンさを執拗に求めない「マチュア」な男性が付けていそうな香りに感じるのだ。

Jusboxのフレグランスは、どれも音楽からインスピレーションを得ている。そのジャンルはクラシカルからロック、ラップ、グランジ、スウィング、ソウルと幅広い。公式サイトでは、それぞれの香りのプレイリストも公開されている。音楽と香りは結び付きが強いとされることも多く、このコンセプトにはとても興味を惹かれる。Visionary Eyeは、自らの限界を突破するためにベルリンへ渡ったデビッド・ボウイからインスピレーションを受けた香りだ。フルボトルは透明(白)で、それはデビッド・ボウイのニックネーム「The White Duke」に由来する。それを知った上でこの香りを嗅ぐと、なるほどデビッド・ボウイが付けていたら素敵だ、と思わされた。

フレグランスには「男性用」も「女性用」もないと思っているが、これはまさにユニセックスフレグランスと言える。男性が付けると大人の余裕を感じさせ、女性が付けるとパウダリーノートがエレガントさを引き出す。今回、On the Scent Podcastのイベントのお土産としてもらったことでJusboxというブランドを知ったが、コンセプトがとても面白いので、タイミングを見てディスカバリーセットを購入してみたいと思っている。

78ml £180