Multi-layered sensual vanilla
何層にも重なるセンシュアルなバニラ
フレグランス専門店 Jovoyの自社ブランドであるJovoy Parisは、もともと1920年代にBlanche Arvoyによって立ち上げられたメゾン。社交界で一躍有名になったものの、時代の流れによって消え去ったこのメゾンを、François Héninが2006年に復活させたのが現在のJovoy Parisだ。
Fire at Willは、2021年に発売されたピュアなバニラの奥深さを楽しめるフレグランス。どちらかと言えばリニアフレグランス寄りで、付けた直後から香りはさほど変化しない。スプレーした瞬間に、肌からバニラとキャラメルの甘い香りが立ちのぼる。バニラエッセンスのようなふわふわと夢心地な(且つ若干単調な)甘さではなく、フローラルでパウダリーなミモザとセンシュアルなムスクやアンバーを含んだ甘さだ。シヤージュはバニラとブラウンシュガーの香ばしさが入り混じったグルマン系の香りだが、鼻を近づけて香るとフローラルが強く香るので、若干クラシカルな雰囲気を感じる。そういった意味で、自分と他人とで香りの印象が若干異なるのかもしれない。
Jovoyの販売員によると、この香りはJovoyでもベストセラーのバニラ系フレグランスだという。バニラを含んだ香りは他にもあるが、これが断トツで人気なんだとか。香りが単調、という意見もあるが、たしかに時間の経過によってさほど変化はしないものの、香りの深みという意味では単調とは思わない。ポップでシンプルなバニラではなく、香りが何層にも折り重なりながら華やかに漂う。第一印象ではバニラとブラウンシュガーに加えてムスクやアンバーの深みを感じるからか、Bath&Body WorksのWarm Vanilla Sugarを思い出したが、ドライダウンした香りを比較すると、B&BWはピュアでイノセントなバニラ、Fire at Willはセンシュアルな大人のバニラという印象で、似て非なるものだ。
個人的にはグルマン系の香りは休日やリラックスしたいとき、ほっとしたいときに使うことが多いのだが、Fire at Willは仕事やイベントごとなどでプロフェッショナルな雰囲気を纏いたいときにも活躍する香りだと思う。キャミソールにカーディガンのようなラウンジウェアにも合うと同時に、カッチリしたブレザーとヒールにもしっくりハマる。オンでもオフでも使えるグルマン系フレグランスだ。
100ml £145