ORMONDE JAYNE Ormonde Woman

Spring bloom and aromatic grass
春に咲き誇る花々と、芳しい芝生

On the ScentのイベントでSuzyが「お気に入りのフレグランス」として紹介していたことで知った Ormande JayneのOrmande Woman。イベントでは実際にムエットを嗅がせてくれる形式だったのだが、嗅いだ瞬間 脳裏に草原が広がった。無機質な紙の上では、そのあともずっと草原の香りがしていたが、肌に付けるとどんなふうに香りが変化するのだろう?と興味が湧いた。その数日後、Jovoyへ行ったときのこと。ふと棚に見覚えのあるボトルがあるのに気付いた。Ormande Womanだった。肌に付けもせずに「このサンプルもください」と口に出していた。それほど、第一印象でピンときた香りだった。

Ormande Jayneは、もともとキャンドル事業を営んでいたLinda Pilkingtonによるイギリスのフレグランスブランド。ボディケア商品を販売していた時期もあったようだが、いまは廃盤になっており、フレグランスとキャンドル、ディフューザーのみの展開となっている。Mayfairのロイヤルアーケードに店舗を構えており、すべての商品を試すことが出来る。

Ormande Womanは、春の歓びの香りだ。スプレーすると、白黒だった空間がカラーになるかのように、春が広がる。最初に香るのは、春先のまだ肌寒い朝の朝露に濡れた芝生。そして肌の温もりで、少しずつフレッシュなジャスミンとパウダリーなバイオレットが咲き始める。シダーやベチバーの森っぽさを含みながら、甘みがじわじわと深まり、トップノートのフレッシュさとはまた一味違う、パウダリー調の香りに落ち着く。ベースノートではアンバーが力強く香り、こっくりとした甘さを残す。GuerlainのAngelique Noireが好きな人は、この香りも好きなんじゃないかと思う。アンバーの甘さとパウダリーなフローラル、フルーツの代わりに芝生やコリアンダーのフレッシュさが加わっている構成は、若干共通点を感じさせる。

わたしは普段パウダリーな香りを避けがちなのだが、Ormonde Womanが限界値かなと思う。これ以上パウダリー感が強まると、自分らしさを感じられなくなるか、物理的に香りに酔ってしまうかどちらかだ。Ormonde Womanは、控えめな香り立ちではあるものの、ある意味かわいらしさのない香りで、守ってあげたくなるような儚さではなく、春を待ち焦がれた植物の力強さのようなものを感じさせる。クラシカルな雰囲気でありながらも、キリッとしたい ーそんな日にぴったりな香りだ。

120ml £175 : 30ml £90