Ormonde Jayne Damask

Candied rose petals in an antique sugar pot
アンティークのシュガーポットに入ったバラの砂糖漬け

「苦手な香りはありますか」と言われたとき、わたしは「レザー、タバコ、ローズ」と答える。ローズ系の香りを心地良いと思ったことはなく、世の中で大絶賛されているFrederic MalleのPortrait of a Ladyですら顔をしかめてしまう。青臭さの残るローズウォーターは好きなのに、フレグランスとなるとまるで好まない。だから、これまで一度もローズ系のフレグランスを買ったこともない。

そんなわたしが、Jovoyで紹介してもらってサンプルを購入したのがOrmonde JayneのDamaskだ。スプレーした瞬間に弾けるブラックカラントや洋ナシのフルーティノートと、その奥に潜むキャンディのような甘さが刺さってしまった。

キラキラとしたフルーティなトップノートを、あたたかみのあるピンクペッパーとローズの香りが追いかける。ローズにもグリーンノートを含んだひんやりと冷たいローズと、もわりとあたたかいローズがあるが、これは後者だ。やさしいハグのような、安心感を与えてくれるような。

そしてその奥から、アンティークの木箱を開けたときのような、もしくは古くからある美術館に足を踏み入れたときのような、重厚感のあるウッディノートが香りはじめる。まるで砂糖漬けのような甘いローズの香りと、そこに加わる少し埃っぽいような渋さのバランスがあとをひく。

キラキラとしているのに浮つかない香り。大人のためのフローラルキャンディ系フレグランス、と言えそうだ。

50ml £135