Clear iced tea with a slice of orange
オレンジのスライスを浮かべた 透き通ったアイスティー
「お茶」と名のつくものは、飲むのも嗅ぐのも好きだ。20代前半の頃に愛用していたのはBVLGARIのオ・パフメ オーテルージュだったし、Penhaligon’sのロタールも持っている。日本にいたころはMONOEARTHのホワイトティーの香りのディフューザーも愛用していた。とにかくお茶の香り、と言われると名前の響きだけでも欲しくなってしまう。
そんなわたしだったが、STATE OF MINDのAesthetic Turbulenceは、これまで香ったことのあるどのティーフレグランスとも違って衝撃を受けた。「お茶のイメージ」ではなく「茶葉の香り」という感じで、独特の深みがある。先日ご紹介したフレグランスサブスク Parfumadoで選んだ香りなのだが、イギリス国内で取り扱いがなくどんな香りか想像もつかないまま選んだので、ブラインドバイに近かったが、決め手となったのはYouTubeで見つけた数少ないレビューの中で「Guelainのネロリ・ウートルノワに似ている」という一言だった。ネロリ・ウートルノワは大好物だ。
STATE OF MINDは、フランスのフレグランスハウスだ。幼い頃から中国人の祖母にお茶の話を聞いていた創設者のCatherine Laskine-Balandinaは、幼い頃からの夢を叶えて調香師になったものの、あまりに商業的になっていく業界に嫌気が差した。少しずつニッチなフレグランスハウスが増えていく中、彼女はお茶とフレグランスをかけ合わせる新しいタイプのフレグランスハウスを立ち上げよう、と決意する ―そうして生まれたのが、STATE OF MINDだ。
STATE OF MINDには、現時点で12種のティーフレグランスと、同じ香りをベースにした茶葉がある。香りによってベースはブラックティーだったり、烏龍茶だったり、玉露だったりする。ディフューザーやキャンドルだけでなく、香りのテーマを表現したイラストがプリントされたシルクスカーフまであるからユニークだ。
Aesthetic Turbulenceは、烏龍茶のベースにマンダリンオレンジをプラスしたトップノートがスッキリと心地良い香りだ。そこにイモーテルやジャスミンの柔らかなフローラルと、リコリスの苦味、ラブダナムの甘さが加わる。烏龍茶がベースになっているというのに、ふわりと香ってくるのはオレンジスライスを浮かべたアイスティーなのだから驚く。グラスを傾けるとカランと氷の音がする、一切濁りのないクリアなアイスティー。鼻を近づけて嗅ぐと烏龍茶の香ばしさとリコリスが引き立ち、苦く複雑な香りがするのだが、シアージュは格段に爽やかで癖がない。ほのかな甘味とオレンジのジューシーな酸味が加わった茶葉の香りは、フレッシュで春夏にピッタリの香りだ。「お茶の雰囲気」を模した香りに多くみられるスカッとしたシャープさとほのかなウッディ味はなく、まったりと深みのあるリアルな「茶葉」の香りがするのが特徴的で、もっともっと嗅いでいたくなる。香りはあまり変化せず、長時間アイスティーの香りが漂う。
これを機に、STATE OF MINDでは他にどんな香りを展開しているのだろう、とフランスからディスカバリーキットを輸入した。12種の香りを嗅ぎ比べて、こんなにも振り幅が広いのかと驚いた。Aesthetic Turbulenceと同じように軽くフレッシュな香りのものから、ダンディな香りのもの、もったりと甘いもの、かわいらしいフルーティノートなど、どれも個性的だ。すべての香りはお茶をベースにしているので、これはティーフレグランス好きにはたまらない。日本からもディスカバリーキットを購入することができるので、お茶の香りを纏いたい人はぜひ一度試してほしい。
10ml €45 : 20ml €115 : 100ml €255