Discover new Niche fragrances picked by a professional
あなたのためにプロが選ぶニッチフレグランス
ニッチフレグランスは、奥が深い。百貨店に置かれているようなメインストリームのブランドは知っていても、ニッチブランドとなると目にする機会も、実際に香りを試せる機会も、レビューの数も、販売店も限られているから、なかなか探求することが難しい。けれど、ニッチだからこそ冒険心のあるブレンドだったり、ファンキーなパッケージだったり、メインストリームのブランドには出せない個性を表現しているブランドが多く、知れば知るほど楽しいもの。
そんなニッチフレグランスを、プロがあなたのために選んでくれるお店がある。Covent GardenにあるBloom Perfumeryは、完全にニッチなブランドしか置いていない。恐らく、百貨店に置いてあるブランドは、ほとんどない。わたしの乏しい知識ではあまり参考にならないかもしれないが、わたしが見聞きしたことがあるブランドはEtat Libre d’orange、Floris、Molinard、Olfactive Studioくらいしかなかった。
店内に入ると、販売員さんがひとり付いてくれる。どんな香りを探しているのか、普段どんな香りが好きなのか、といったことを質問され、答えに沿っておすすめの香りをカウンターに次々と並べてくれる。ムエットに惜しみなくスプレーした香りを2〜3種嗅いだあと、それぞれの感想を聞かれる。そこからまた、おすすめの香りを次から次へと棚から出してきてくれる。
これはわたしの個人的な体験談だが、ここでの経験が楽しいものになるかは、販売員による。わたしが最初に話した女性は、休憩から戻ってこない他の販売員をカバーしていたようで、心ここにあらずだった(実はあとで知ったことだが、このお店で苦い体験をしたひとは皆この女性に接客されている)。しかも、ものすごく癖が強い香りばかり出してくるので(色々妙な香りがあったけれど、個人的には黒胡椒がいっぱい入ったラーメンスープみたいなしょっぱい香りのフレグランスがあったことには驚いた)わたしがどれもいまいちな反応をすることに苛つきはじめたのか「あなた、ニッチフレグランスが好きじゃないなら来るお店が間違ってるわよ」と言い放った。わたしもわたしで、フレグランス初心者の分際でニッチフレグランスはレベルが高すぎたのか…と恥ずかしくなってきた。そこに、別の販売員の女性が休憩から帰ってきた。まだ初々しさの残る女の子だった。ラーメンフレグランスを勧めてくれた女性は、いそいそと彼女に引き継ぎをし、奥に引っ込んでいった。
休憩帰りの彼女は、慣れた手付きでいくつかボトルを取り、わたしにたっぷりスプレーしたムエットを手渡した。ラーメンフレグランスより、確実にわかりやすい香りだった。そこから更に「もう少し軽い」とか「ウードが入っていないもの」とかフィードバックをして、2つ好きな香りが見つかった。El BornのCarnerと、Etat Libre d’orangeのFrustrationだった。後者は「つい最近入ってきたばかりの香りだけど、もしかしたら好きかも」とついでに出してきてくれたものだった。好きな香りが見つかったことも嬉しかったが、わたしにも楽しめる「ニッチフレグランス」があると確信できたことも嬉しかった。
Bloomでは、気に入った香りが見つかったら1mlの小分けを購入できる。いろんな香りが充満するこの店内で選んだ香りが実際に野外でどのように香るか、そして肌の上でどう変化するか、しっかりと見極めるためだ。それぞれの価格によるが、だいたい£4〜7くらいだった。その場でボトルからアトマイザーに移し、ブランド名、商品名、トップ〜ラストノートが書かれたラベルを貼ってくれる。レシートを持ってくれば、フルサイズを購入する際にサンプル代を引いてくれる仕組みになっている。
隣で接客を受けていた女性は、販売員の女性と意気投合し、大笑いしながら香りを選んでいた。わたしも、2番目に担当してくれた彼女とは普通に話ができた。勝手にフレグランスを見て回ることができず、自分の好きな香りを選んでもらう、というサービス形態ゆえ、ご機嫌斜めな販売員にあたってしまうと残念ながらなかなか好きな香りには巡り会えないかもしれない。Googleのレビューを見ても、素晴らしい体験をしたという人もいれば、もう来ない、という人もいる。こればかりは運任せだが、それでも一度は足を運んでみることをおすすめしたい。
There are no women who do not like perfume, there are women who have not found their scent
– Marilyn Monroe