By Kilian Angel’s Share

Cinnamon rolls with a hint of liquor
洋酒の効いたシナモンロール

冬の寒い日に、キャンドルを灯したあたたかい部屋で、コーヒーとシナモンロールをつまみながら、やわらかなブランケットに包まってぬくぬくと本を読んでいるときの心地よさを香りにしたようなフレグランス。

わたしの肌ではさほどお酒感は強く香らず、トップではシナモンのスパイシーさと、オークの煙たいウッディさが際立つ。どこか酸味があって、でも丸みのあるあたたかい香り。時間が経つにつれてオークが影を潜め、バニラとシナモンが肌に残る。心地よく上品な甘さで、何度も嗅いでしまう。わたしはフレグランスが自分に似合っているかを判断するときに、日中にさりげなく自分から放たれている香りがどんな印象を持っているか、を重視する。どんなに良い香りのフレグランスでも、日中に香ったときに「なんだかちぐはぐだな」とか「落ち着かない香りだな」と思うものは、わたしに似合っていないのだと思うし、逆に「どこからか良い香りがする…あ、わたしだった」なんてときは相性が良いと思う。Angel’s Shareは、付けるたびに「今日のわたしも良い香りしてるな」と思わせてくれるので、好みの香りでもあるし、肌との相性も良い気がする。

「寝香水」として使っているひとも多いと思うが、なるほど部屋着に着替えてから付けると気持ちが切り替わる。ベッドリネンにふんわり移った香りも心地良い。歯が痛くなるようなキーンと鋭い甘さではなく、スパイスの効いたふんわり軽い大人の甘さなので、あたたかい部屋で香っても酔わない。むしろ、ふわっと肩の力が抜け、明日なにがどうなってもいいかな〜、なんていう危険な安心感すら芽生えてくる。

これは代々コニャックビジネスを受け継いできたHennessy家の子孫であるKilianが、自らの先祖へのリスペクトを表してつくった香りで、実際にコニャックのエッセンスが入っているのだそう。ロックグラスのようなボトルや、コニャックを樽で熟成させるときに蒸発して失われてしまう量「Angel’s Share(天使の取り分)」をネーミングに掲げたセンスも素晴らしい。

50ml £210 / 29,480yen