Rosendo Mateu Nº 1

My skin but better
わたしの一部になる香り

自宅近くのカフェで仕事をしていたとき。ふわふわと風に乗って、どこからともなく良い香りがする。隣の席の女性が付けている香水だろうか。とても良い香りだな、と思いながらも、仕事を続ける。その後、書店に立ち寄った。行くたびに新しい発見がある書店で、なぜか定価よりかなりお安い金額で売られている。アート関連の棚を眺めていたら、さっきと同じ香りがした。あたりを見回しても、誰もいない。ふと気付いた。良い香りを放っているのは、わたしでは?

その日に付けていたのは、Rosendo MateuのNo.1。Rosendo MateuはNina RicciやZARA(!)のフレグランスなどを創り上げた調香師 Rosendoが2017年に立ち上げたブランド。2017年から2019年にかけてNo.1からNo.7までの香りを、そして2020年には3種の香りで構成された2ndコレクションを発売。残念ながらRosendo自身は2021年3月に亡くなってしまったが、ブランドは共同創設者である息子のJoanが引き継ぐのだろうか。

ベルガモットとティーリーフという、まさにアールグレイ!なノートのリストに惹かれて小分けを購入してみたのだが、わたしの肌だと、付けた直後からアイリスやジャスミン、すずらんのパウダリーでフローラルな香りが立つ。それでもフローラルに寄りすぎていないのは、グリーンノートやスパイシーノートが軽さを加えているからだろう。紅茶感は控えめなので、いま流行りの「紅茶系フレグランス」を期待していると少し面食らうかもしれない。

時間が経つと、清潔感のあるライトなフローラル調の香りに落ち着く。とてもさり気なくて、フレグランスを付けていることを忘れてしまうほど軽い。肌に「付けている」つまり「乗っかっている」というより、肌に馴染んで自分の一部になる。わたしという平凡な人間に、清潔感と、落ち着きと、強さと、親しみやすさと、やさしさを与えてくれる。そして忘れたころに風にのって香り、存在感をアピールしてくる。

はじめて付けたときは、なるほど良い香りだな、と思うに留まった。素晴らしいマスターピースだ!とか、ずっと香っていたい!という中毒性のようなものは感じなかった。けれど、日中ふわりふわりと香りが主張してくるたびに、この香りはどこから漂ってくるのだろう?と、周りをキョロキョロと見回してしまうほどに魅力を感じる。上質な柔軟剤のように控えめなので、わたし!わたし!と主張することなく、どこからともなく漂う「良い香り」を纏いたい日に最適な香り。

Rosendo Mateuの10種の香りのうち、No.5の人気がとても高いように思う。スパイス、カーネーション、アンバー、ムスクなどをブレンドした香りで、男女共にこの香りがたまらない、という人も多いようだ。日本未上陸のブランドだが、ロンドンでもなかなか店頭で販売されていることがないブランドなので、機会を作ってまずはミニサイズのサンプルから試してみたい。

100ml €175