Delicious juicy blood orange and a gentleman
ジューシーなブラッドオレンジと紳士
先日こちらの記事でご紹介した、イギリス生まれのフレグランスブランド Shay & Blue。ちょっと捻りのきいた香りの組み合わせが面白いのだが、わたしが購入したBlood Orangesも例に漏れずとてもユニークだ。ブラッドオレンジの香りが素晴らしい、と耳にして即ウェブサイトをチェックしたのだが、キーノートとして「レザー」が挙げられていた。一抹の不安が過った。
わたしはレザーが苦手だ。これは恐らくわたしの幼い頃の記憶に基づいていて、いまさらどうすることもできない。物心ついてから中学生くらいまで、わたしの父は外車に乗っていた。その革のシートと父親の吸うタバコが入り混じったその独特の匂いは、お世辞にも心地良い匂いではなかった。もともと乗り物酔いしやすいわたしは、父の車に乗るたびに気持ちが悪くなり、後部座席で横になって吐き気を抑えながら早く目的地に着いてくれ、と願った。それが強烈な記憶として残っているのだろう、いまでもレザーの入っているフレグランスを嗅ぐと酔ってしまうのだ。
トップのブラッドオレンジは、とてもリアルだ。まるで目の前でブラッドオレンジをふたつに切り、ぎゅっと絞った断面から果汁が滴り落ちているようで、そのみずみずしさを鼻で感じることができる。ほんのり甘味があり、まろやかで皮の苦味を感じさせないブラッドオレンジの果汁が弾けたあと、少しずつレザーの香りが漂ってくる。鼻を近づけて香ると、重くて苦いレザー特有の匂いを感じるのだが、シアージュはどこか紳士的なオレンジの香りがする。パリッとしたスーツ、きれいに畳まれたハンカチ、ツヤツヤに磨かれた革靴。とはいえ、女性がまとって違和感がある香りではない。ムスクとアンバーがセンシュアルさをプラスしているので、柑橘の爽やかさやレザーのハンサムさと相まって、どこかミステリアスな雰囲気を醸し出している。
レビューを見ていると香りの持続性が悪いという意見も見かけるが、個人的には充分だと思う。数時間経ってもほのかに香りは残っているし、強すぎないのが逆に良い。肌に付けると持続時間は数時間といったところだが、マフラーなんかにスプレーすると1日中オレンジの香りが楽しめる。わたしが購入した30mlサイズはバッグに入れてもさほどかさばらないので、1日外出するときは持ち歩いている。
同じ香りのハンドクリームもおすすめだ。シアバターやグリセリン、スイートアーモンドオイルなどをブレンドしたクリームは、ほどよいリッチさで肌に素早く馴染みながらもしっかり保湿してくれる。40mlというサイズも大きすぎず、小さすぎず、£15.00という価格帯に見合っている。なによりも素晴らしいのは、やっぱり香りだ。フレグランスは付けた直後の果汁のみずみずしさからレザーの渋み、ムスクとアンバーのセンシュアルさを段階的に感じる。ハンドクリームはすべてが控えめで、よりまとまっているように思う。
こちらは段階的な香りの変化はさほどないものの、ブラッドオレンジの皮のような香りに感じる。レザーの重たさはさほど感じず、代わりにオレンジの皮のような苦味がある。この香りがまたとても心地良いのだ。香りの持続性も良く、付けてしばらくはふわふわとジューシーな香りが漂う。
これはイギリス限定になってしまうが、ニュースレターに登録しておくとお得な情報が届くのも嬉しい。セールやキャンペーンのお知らせはもちろん、先日は10mlサイズを500人にプレゼント、なんていう太っ腹な企画も行っていた。わたしももちろん参加して、送料のみを負担して10mlサイズのフレグランスをいただいた。こちらは届き次第、また改めてレビューをしたい。
イギリス国内で広く販売されているブランドではあるが、店舗は都心部に位置しているので、ロンドンに来る際はぜひ訪れてみてほしい。
Fragrance 10ml £25 : 30ml £30 : 100ml £55
Hand Cream 40ml £15