De la plante à l’essence : Book Review

Highly informative book about perfume ingredients
フレグランス原料の魅力に迫る一冊

香りに特化した出版社 NEZの本はこれまで2冊紹介してきたが、どちらも情報量とその質が素晴らしい。香りオタクのわたしたちが知りたいと思うことをしっかり深堀りし、完結にまとめてくれている。NEZ MAGAZINEは雑誌とは思えない情報量だし、毎号のテーマが興味深い。THE BIG BOOK OF PERFUMEは、フレグランスの歴史や構造などの基礎だけでなく、フレグランスの誕生から市場に出るまでのロードマップを詳しく紹介していて、この業界で仕事をしたいと考えているひとにもおすすめの一冊だ。

【過去記事】
○ NEZ MAGAZINE
○ THE BIG BOOK OF PERFUME

今日ご紹介するのは、2022年に発売されたばかりの De la plante à l’essence。フランス語と英語のバイリンガルで、フランス語がまったくダメなわたしにとって最初は少し読みづらく感じたが、次第に慣れてくる。本の構成としては、ひとつひとつの原料(ナチュラル・合成ともに)の起源、歴史、香り、抽出方法、栽培地などのデータと、その原料についての更に詳しい情報や、専門家のインタビューなどが紹介されている。


この「詳しい情報」は、原料によって切り口が異なる。例えばベルガモットやマンダリンオレンジは、その栽培や抽出方法に絞られている。ウッディアンバーの香りについては、合成のウッディアンバーがどのように発展してきたか、それぞれの特徴などについても触れられている。ピンクペッパーやフランキンセンスの項目では、専門家のインタビューを交えて紹介している。これは調香を勉強しているひとにも有益だ。例えばピンクペッパーについては調香師のMark Buxtonが「ピンクペッパーは、ベースノートを底上げする作用がある。シダーウッドとブレンドすると、その鉛筆の削りカスのようなウッディノートが引き立つ」と語っている。

そしてそれぞれの項目の最後には、その原料を使ったフレグランスが3つ紹介されている。デザイナーブランドなどのメインストリームからニッチフレグランスまで、カバーしているブランドは幅広い。また、それ以外にも香りの歴史について、そして未来についての項目もあり、一冊を通してフレグランスを深く知ることが出来る一冊になっている。

わたしはAmazon UKで購入したが、現時点ではAmazon JAPANでは販売されていない。Amazon UKから日本への発送も可能だが、£20.00ほどの送料がかかる。ニッチな本なのでAmazon JAPANに入荷する日がくるのかどうかも分からない。個人的には素晴らしい情報量と眼福のデザインを考慮してもその勝ちはあると思う。調香を勉強しているひとや、フレグランスを深堀りしたいひとには特におすすめだ。